ユルトと精霊の湖
1つだったものが、2つに分かたれた?
それとも、次に生まれるべきものが誤って一緒に生まれて来てしまった?
ならば、どちらが…………誤った方なのか?
あちらか?
……こちらなのか?
いつしか、双子の王は、小さな遊びでも、負けることがあれば、自分か?と疑いを持つようになり、お互いの違いが目につくようになった。
その頃から、小さな王は今のような人の子の姿を纏うことが多くなっており、それを真似るように、青年の王も人型を纏う時間を増やしていった。
しかし、持って生まれた性質は変えられない。
王の森深くでひっそりと過ごすことを好む青年の王に対し、小さな王は、王の森の外に興味を抱くことが多いようだった。
風精や、木々からの情報だけでは飽き足らず、時折来る鳥達にも話を聞き、前回の目覚めの時には森の外にまで出かけるようになった。
目覚めて、片割れのその行動を知った青年の王は、驚くと共に恐れを感じた。