ユルトと精霊の湖
青年の王がそうしているように、小さな王も、片割れが見たもの、聞いたものを感じることができる。
穏やかな王としての過ごし方に恥じるところはないが、それを見た小さな王の感情が手に取るように想像できてしまうからだ。
窮屈だ。
そう小さな王が思ったのを初めて知った時の衝撃は、今でも忘れられない。
縛られている。
この大樹に。
この森に。
そして……もう一人の王に。
そう感じて、小さな王は森を出るようになったのだろう。
自分と、片割れと。
どちらが正しい王としての姿なのか。
青年の王には、判断することができない。