あの日の追憶
第六話
 次の日、瑠唯の事が気になった俺は学校帰りに病院に寄った。瑠唯の病室の前に着き部屋のドアを開けるとベッドを取り囲むようにたくさんの医者や看護師がいた。
「瑠、唯?瑠唯!」
俺は持っていた鞄を投げ捨てて瑠唯のベッドへ駆け寄った。
「瑠唯は、瑠唯はどうしたんですか?!」
「…佐野さんは先程発作を起こしました。一命は取り止めましたが、次発作が起きたらもう…。失礼します。」
そういって医者たちは出ていった。次はもう?また発作が起こるとダメなのか?
「くっ。瑠唯。まだやりたい事いっぱいあるんだろ?良いのかよ。海を見に行っただけじゃないか。良いのかよ!」
ベッドの近くの椅子に座りベッドに伏せながら叫んだ。
「…颯真うるさい。眠れないじゃない。起こして。」
といって腕を伸ばしてきた。
「いや、そのまま寝てろ。瑠唯、大丈夫なのか?」
「…うん、今はね。ねえ、颯真もしも私が死んだら、」
「そんなこと言うな。」
「良いから、最後まで言わせて。」
「…」
「もしも私が死んだらこの手紙を読んで。死ぬ前に読んだら一生口聞かないから。」
俺は手紙を受け取り言った。
「…わかった。とりあえず今日は休め。俺は帰るから。」
「うん、じゃーね。」
まさかこれが瑠唯との最後の会話になるなんてこの時の俺は思いもしなかった。
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