あの日の追憶
第八話
 次の日の朝、俺は携帯の着信音で目が覚めた。
「…はい、もしもし…」
脳が半覚醒のまま電話に出ると、電話をかけてきたのはおばさんだった。おばさんは慌てた様子で
「颯真くん?急いで病院まで来て!瑠唯が…。」
と言ったところで俺は「すぐ行きます!」と返事をし電話を切った。急いで身支度を済ませ家を飛び出した。病院までいつもは歩いて行っていたが、今日は自転車で行くことにした。瑠唯のもとに少しでも早く向かうためだ。病院に着き勢いよく扉を開け放った。
「瑠唯!」
俺の目が捉えたものそれは、ベッドを取り囲むように医者や看護師がいた。瑠唯はたくさんの機械に繋がれとても大変な状況だと俺でも理解できた。医者たちは俺の通る道を作るかのように両脇にずれてくれた。俺は鉛のように重くなった足を必死に動かし瑠唯のもとへ歩み寄った。
「…瑠唯…。」
そっと瑠唯の手を握った。あたたかい。まだ、生きてる。そう思った瞬間、ピーっと一番近くにあった機械から音がなった。
『先生!心停止です!』
と看護師が言うと主治医らしき人が寄ってきて心肺蘇生を始めた。だが、五分、十分、三十分頑張っても瑠唯の脈が戻ることはなかった。
『これ以上はもう…』
と医者は言った。それを聞いたおばさんは泣きながら頷いた。それを確認した医者は
『午前10時13分32秒ご臨終です。』
といって部屋を出ていった。
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