晴空の下また君と出会えたら
1.進級

けたたましく鳴り響く目覚まし時計。
「はぁ。」
私は朝からため息をつく。
また学校が始まってしまった。
私にとって、学校は地獄。
いや、生きていること自体地獄だ。
シーンと静まり返っているリビングには
【今月のお小遣い】
と書いてある紙と共に1万円札が5枚。
こんなにあっても使わないのに。
ドタバタと聞こえてくる足音。
起きたのかな…
「お姉ちゃん、おはよう!」
私とは正反対に元気な妹の結依。
結依は中学2年生。
可愛くて優しくて元気。
私とは似ても似つかない。
「おはよう」
「今日から学校だね!楽しみ〜」
私は楽しみじゃない。
あんな学校行きたくない。
「じゃあ、行ってきまーす!」
楽しそうに家を出る結依。
いいなぁ。
あんなに学校が楽しみだなんて。
私は誰もいないリビングをあとに学校へ行く準備をして家を出た。

今日から高校2年生。
と言っても田舎の学校で生徒数も少ないためクラス替えはない。
だから余計に私にとっては地獄なんだ。
ードンッ
「った…」
「あっ、ごめんね〜影薄すぎて見えなかった」
「神崎さん、邪魔なんだけど。」
それでも私は気にせず無視をして教室へ向かう。
ーガラガラッ
私が入口を開けた瞬間静まり返る教室。
そして…
「うわっ、進級しても一緒とか最悪じゃん〜」
「まだ学校きてんのかよ、あいつ。」
私への悪口が飛び交う。
そう。
私、神崎瑠依はいじめられているのだ。
原因は…告白。

ー1年前ー
私は新しく始まる生活を楽しみにしていた。
友達だって出来たし、それなりにみんなと話していた。
でも、入学式から一週間経ったある日…
私は学校一イケメンと騒がれている先輩に告白されたのだ。
好きじゃなかったし話したこともなかったからもちろん断った。
そのことは誰にも言わずにいた。
なのに次の日学校に行ったらみんなの態度が変わっていた。
『おはよう』と話しかければ無視。
黒板には《神崎瑠依は男たらし》《体を使って男をたぶらかしている》などと私に対する悪口。
もちろんそんなことはしていない。
トイレに行けば水をかけられ制服は水浸し。
仲良かった子にすら無視された私は完全に1人になってしまった。
先生に言ってもみんな、先生の前では何も無かったかのように振る舞うため無意味。
親に相談しても仕事仕事で話すら聞いてくれない。
妹の結依の話はよく聞いているのに…
その頃から私は誰にも心を開かなくなった。
信じても裏切られるだけ。
だったら最初から信じない。
そうすれば傷つくことは無い。
いつしか私はそう思って生活するようになった。
それからわたしは‪笑うことがなくなった。

いじめられて1年以上経っても変わらない日常。
今日もまた地獄の一日が始まろうとしている。





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