晴空の下また君と出会えたら
2.転入生
「おはよう!今日は転入生を紹介する。入れー」
担任が教室に入ってきてすぐのことだった。
ーガラガラッ
「二ノ宮洸輝です。よろしく」
転入生が挨拶をするとクラス中がざわめいた。
いや、正確には女子が。
みんな口々に転入生を褒めている。
理由は、かっこいいから。
ぱっちりとした奥二重の目にスっと通った鼻筋。
薄い唇はすごく綺麗で、茶髪の髪はアシンメトリーに切りそろえられている。
そりゃあ女子の皆さんは釘付けになる。
まぁ私には関係のない人だから。
誰ともかかわらない。
「じゃあ二ノ宮の席は神崎の隣な。神崎、色々教えてやれよ」
「はい」
私の隣、か…
だから今日はいつもはない机が置かれていたのか。
「よろしくね?」
「うん。」
必要最低限の挨拶だけを返して私は黒板を見た。
「あのさ」
転入生が話しかけてくるのを遮ってクラスの女子が彼の周りに集まった。
「洸輝くぅ〜ん」
私にかける声とは天と地ほどの差。
一体どうしたらそんな声が出るのかと思うくらいの高い声で話しかけていた。
私は邪魔になると思いその場から離れて屋上へむかった。
ーギィィ
この学校の屋上は使用禁止になっている。
でも私はいじめられてすぐくらいにここの鍵を拾った。
それからは屋上は毎日ここで過ごしている。
悔しいけど逃げ場所にもなっているし、お弁当くらい静かに食べたい。
だから、私にとっては鍵を拾ったのは好都合だったのだ。
小さい頃から空を見るのが大好きな私。
空を見てると元気になれる。
「はぁ…きれい」
今日はすごく晴れた空。
私は晴空とよんでいる。
こんな日にはいつも思い出す出来事がある。
それは小学生の頃。
私が1人で散歩をしていた時の話。
『今日も空が綺麗…晴空だぁ』
いつも行く公園に1人の男の子が座っていた。
私は無意識に男の子に話しかけていた。
『どうしたの?』
って。
そしたら男の子は泣きながら私に言ったんだ。
『ぼく、病気なんだって。』
って。
当時の私は病気というのがすごく怖い存在に思えた。
だから私は
『悲しい時は空を見るんだよ。そうすると元気になれるから。』
って言った。
男の子はそれを見上げた後に私のことを見て
『本当だね!少し元気になったかもしれない』
って、ニコッと笑った。
『キミはなんで空を見あげるの?』
って聞かれた。
『私も悲しいから…』
なんで?って聞かれたけど今は何に悲しんでいたか覚えていない。
『じゃあ2人で頑張ろう。悲しくなったら空を見よう?そうすればキミも僕も笑顔になれる。はい、約束ね?』
って小指を差し出してきた。
その笑顔はすごく可愛くて私のむねがたかなったのをいまも鮮明に覚えている。
それから少し話していたけど夕暮れが近づいて私達はそれぞれの家路についた。
それからは一度も会っていない。
今思えば名前も顔も知らないその男の子に私は初恋をしていたんだ。
その時私も元気がなくて、でも、その男の子と話したら自然と笑顔になって…
その笑顔に救われた。
元気になれた。
だから今、私は空を見て頑張っている。
『じゃあ2人で頑張ろう。悲しくなったら空を見よう?そうすればキミも僕も笑顔になれる。はい、約束ね?』
っていう男の子の言葉を思い出して。
その言葉は今の私の唯一の味方のような気がしている。
ーギィィ
やばっ。
私鍵を開けっ放しにしていたんだった。
「何してるの?」
そこに居たのは転入生だった。
「別に何も。」
「なんで屋上にいるの?」
「空を見るため」
転入生は笑った。
「どうして?」
「それを見ると元気になれるから」
そう言い残して私はその場をあとにした。
「おはよう!今日は転入生を紹介する。入れー」
担任が教室に入ってきてすぐのことだった。
ーガラガラッ
「二ノ宮洸輝です。よろしく」
転入生が挨拶をするとクラス中がざわめいた。
いや、正確には女子が。
みんな口々に転入生を褒めている。
理由は、かっこいいから。
ぱっちりとした奥二重の目にスっと通った鼻筋。
薄い唇はすごく綺麗で、茶髪の髪はアシンメトリーに切りそろえられている。
そりゃあ女子の皆さんは釘付けになる。
まぁ私には関係のない人だから。
誰ともかかわらない。
「じゃあ二ノ宮の席は神崎の隣な。神崎、色々教えてやれよ」
「はい」
私の隣、か…
だから今日はいつもはない机が置かれていたのか。
「よろしくね?」
「うん。」
必要最低限の挨拶だけを返して私は黒板を見た。
「あのさ」
転入生が話しかけてくるのを遮ってクラスの女子が彼の周りに集まった。
「洸輝くぅ〜ん」
私にかける声とは天と地ほどの差。
一体どうしたらそんな声が出るのかと思うくらいの高い声で話しかけていた。
私は邪魔になると思いその場から離れて屋上へむかった。
ーギィィ
この学校の屋上は使用禁止になっている。
でも私はいじめられてすぐくらいにここの鍵を拾った。
それからは屋上は毎日ここで過ごしている。
悔しいけど逃げ場所にもなっているし、お弁当くらい静かに食べたい。
だから、私にとっては鍵を拾ったのは好都合だったのだ。
小さい頃から空を見るのが大好きな私。
空を見てると元気になれる。
「はぁ…きれい」
今日はすごく晴れた空。
私は晴空とよんでいる。
こんな日にはいつも思い出す出来事がある。
それは小学生の頃。
私が1人で散歩をしていた時の話。
『今日も空が綺麗…晴空だぁ』
いつも行く公園に1人の男の子が座っていた。
私は無意識に男の子に話しかけていた。
『どうしたの?』
って。
そしたら男の子は泣きながら私に言ったんだ。
『ぼく、病気なんだって。』
って。
当時の私は病気というのがすごく怖い存在に思えた。
だから私は
『悲しい時は空を見るんだよ。そうすると元気になれるから。』
って言った。
男の子はそれを見上げた後に私のことを見て
『本当だね!少し元気になったかもしれない』
って、ニコッと笑った。
『キミはなんで空を見あげるの?』
って聞かれた。
『私も悲しいから…』
なんで?って聞かれたけど今は何に悲しんでいたか覚えていない。
『じゃあ2人で頑張ろう。悲しくなったら空を見よう?そうすればキミも僕も笑顔になれる。はい、約束ね?』
って小指を差し出してきた。
その笑顔はすごく可愛くて私のむねがたかなったのをいまも鮮明に覚えている。
それから少し話していたけど夕暮れが近づいて私達はそれぞれの家路についた。
それからは一度も会っていない。
今思えば名前も顔も知らないその男の子に私は初恋をしていたんだ。
その時私も元気がなくて、でも、その男の子と話したら自然と笑顔になって…
その笑顔に救われた。
元気になれた。
だから今、私は空を見て頑張っている。
『じゃあ2人で頑張ろう。悲しくなったら空を見よう?そうすればキミも僕も笑顔になれる。はい、約束ね?』
っていう男の子の言葉を思い出して。
その言葉は今の私の唯一の味方のような気がしている。
ーギィィ
やばっ。
私鍵を開けっ放しにしていたんだった。
「何してるの?」
そこに居たのは転入生だった。
「別に何も。」
「なんで屋上にいるの?」
「空を見るため」
転入生は笑った。
「どうして?」
「それを見ると元気になれるから」
そう言い残して私はその場をあとにした。