日常【BL】
「いや無理。どー描いていいのかも理解不能」
顔の前で手を振った俺に、「そうだろうな」というように頷いて、大城は行ってしまった。
「取りあえず、描いてみて」
という言葉だけを残して。
「なあ、なあ、なんで俺だけ? みんな違うモン描いてんのに! 俺も祐志みたいに布と果物でも描きてぇ~」
「お前、油絵嫌いじゃん」
呆れたようにチラリとこちらに目を向けて、祐志が言う。
「だってさ~」
「油絵も嫌いだし、この前描いた水彩画はしばらく描きたくないって言うし、大城が薦めた日本画も乗り気じゃない」
筆を動かしながらの祐志の台詞に、「だって~」と言葉を割り込ませた。
「油絵はさぁー、どこが終わりなのかも判んないんだよなぁ。どこまででも描けるって言うかさぁ、どこまで描いてもスッキリしないって言うか……。水彩画は――しばらくもういいや」
飽きたし。
「日本画は?」
「道具一式買うトコからするって言うんだぜ。他にも日本画やりてぇって奴がいんならまだしも――」
「ま、今のままじゃお前の『飽きた』の一言で、全部無駄になり兼ねないからな」
顔の前で手を振った俺に、「そうだろうな」というように頷いて、大城は行ってしまった。
「取りあえず、描いてみて」
という言葉だけを残して。
「なあ、なあ、なんで俺だけ? みんな違うモン描いてんのに! 俺も祐志みたいに布と果物でも描きてぇ~」
「お前、油絵嫌いじゃん」
呆れたようにチラリとこちらに目を向けて、祐志が言う。
「だってさ~」
「油絵も嫌いだし、この前描いた水彩画はしばらく描きたくないって言うし、大城が薦めた日本画も乗り気じゃない」
筆を動かしながらの祐志の台詞に、「だって~」と言葉を割り込ませた。
「油絵はさぁー、どこが終わりなのかも判んないんだよなぁ。どこまででも描けるって言うかさぁ、どこまで描いてもスッキリしないって言うか……。水彩画は――しばらくもういいや」
飽きたし。
「日本画は?」
「道具一式買うトコからするって言うんだぜ。他にも日本画やりてぇって奴がいんならまだしも――」
「ま、今のままじゃお前の『飽きた』の一言で、全部無駄になり兼ねないからな」