日常【BL】
すっげぇ嬉しい言葉だったのに、なぜか袖を掴んでいる手は固まって、放す事も、ましてや強く掴む事も出来なくなった。
今って時間……止まってんのか?
「納得したか?」
フイッと俺の顔を覗き込むように言った祐志が、再び歩き出す。自然に離れた手が、 無意識に後を追った。
「……ところでさぁ、祐志」
空気だけを虚しく掴んだ手を握りしめて、離れる背中を引き止めるように声をかけ る。
「俺の鞄は?」
――俺の声、変じゃねぇよな?
「あ……」
少し間の抜けた声を出して、祐志が踵を返す。
「忘れてた」
「ええー! そもそもお前、なんで教室に戻ったと思ってんだ」
……結局。笑っちまうけど、こんな些細な事がキッカケだ。俺達はまた、普段の調子を取り戻す。
「自分の鞄を取りに」
「俺のもだろ」
「そっちはついで」
言って横を通り過ぎながら、俺の腕を掴む。そのまま引っ張って階段を上がり始める 祐志に、俺は慌てて声を発した。
「な、なんだよ」
「鞄取りに行くんだろ」
今って時間……止まってんのか?
「納得したか?」
フイッと俺の顔を覗き込むように言った祐志が、再び歩き出す。自然に離れた手が、 無意識に後を追った。
「……ところでさぁ、祐志」
空気だけを虚しく掴んだ手を握りしめて、離れる背中を引き止めるように声をかけ る。
「俺の鞄は?」
――俺の声、変じゃねぇよな?
「あ……」
少し間の抜けた声を出して、祐志が踵を返す。
「忘れてた」
「ええー! そもそもお前、なんで教室に戻ったと思ってんだ」
……結局。笑っちまうけど、こんな些細な事がキッカケだ。俺達はまた、普段の調子を取り戻す。
「自分の鞄を取りに」
「俺のもだろ」
「そっちはついで」
言って横を通り過ぎながら、俺の腕を掴む。そのまま引っ張って階段を上がり始める 祐志に、俺は慌てて声を発した。
「な、なんだよ」
「鞄取りに行くんだろ」