放課後のきみ

「え、何で…すか……?」


「ごめん」


「…もう、いいですから」


「泣かせるつもりなんてなかったんだよ」


急に先輩の口調が弱々しくなる。

しかし、それに反して、美優を抱きしめる力は強かった。


「もう泣いてませんよ」


美優の心臓は爆破しそうなくらい鼓動を速く打っていた。


「………」


「…先輩?」


「おーい!誰かいるのかー?」


え…何?


「やばい…先生だ……」


「ぇえ?」


「早く、逃げるよ」


「え、あ…」


優斗は美優を抱きしめていた腕を放し、美優の手を掴んだ。


ぇえ?!

手、手ぇえ!


その場を去った二人の後ろには、懐中電灯の光が見えた。


.
< 149 / 203 >

この作品をシェア

pagetop