放課後のきみ
「いーだいっ!」
少し足を動かそうとするだけでも膝がひどく痛む。
「我慢!」
「うぅっ…」
そして、やっとの思いで美優はようやく、優斗の背中の方へ向くことができた。
「乗って」
「はぁ、すいません」
まだ心にためらいの気持ちが残ったままだが、美優は優斗の首に手を回した。
「ちゃんと掴まっててよ」
「掴まってます」
優斗は美優がしっかり自分に掴まったことを確認すると、立ち上がった。
「ひゃぁ」
「行くよ?」
「…はい……ってか本当すいません!重いですよね!本当重いですよねっ」
「重くなんてないから」
優斗は少し呆れたように、美優の顔へ振り向き苦笑した。
「は、はぁ」
ん?
どうした?
なんか恥ずかしいぞ…!
美優は自分の顔がホテっていくのを感じた。
「じゃ行きますよ」
優斗は走り出した。
「あっ!先輩かばんっ」
「え、あぁ」
後ろに向き直すと地面には、淋しそうにかばんは転がっていた。
優斗はそのかばんを掴み、走り出した。
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