放課後のきみ

―ドタドタ


そんなことを思っていると先輩がやって来た。


来たっ


いきなり緊張しだす美優。
背筋がピンッと伸びる。


「……」


「?」


立ち止まり、美優を不思議そうに見つめる優斗。


「なに?」


「な、にがですか?」


「……いや」


優斗は姿勢の良い美優を不思議に思ったのだろう。


「足出して」


「え?」


「え?って傷!」


「あぁ」


気付けば、優斗の右手には救急箱があった。


「そうだ…これで自分で血取って」


そう言って優斗は濡れたティッシュを差し出した。


「あ、どうも…」


美優はそれを受け取ると、手の平と両膝の血を拭き取り始めた。


「……っいー…」


「染みますねえ…」


「何楽しそうにしてんですか?」


「べっつにー」


むかつく……


そう良いながらも救急箱から消毒液を取り出す優斗。


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