放課後のきみ

―「手出して」


「はい…」


膝の痛みはやっとひいてきたらしい。


美優は優斗の肩にやっていた手を離した。


「右手だけ?」


「はい……あ」


「?」


美優はさっき掴んでいた優斗の左肩を見ていた。


すると、それに気付いたのか、優斗は不思議がり自分の肩に目をやった。


「あ…」


「ご、ごめんなさい…」


優斗の左肩には、美優が強く掴んでいたため、血が染みてしまっていた。


「洗います!」


「あーいいよ別に」


「いや洗うんで!」


「いーから!はいっ手」


気にしていないような優斗は、おどおどしている美優の右手を掴んだ。


「え」


「消ー毒!」


「あ……でも洗いますから!」


「ふっ」


鼻で笑った優斗。


「なんですか?」


「え…いや……敬語に戻ったなーって…」


「…え、…あ、すいません」


私、先輩に向かってタメ口だった?


「あ、そういう意味じゃなくて…俺気にしないし」


「え…いや……」


「むしろタメでいいし……ね?」


そう言って美優に向かって微笑んだ優斗に、美優がドキッとしたのは言うまでもない…
< 171 / 203 >

この作品をシェア

pagetop