放課後のきみ

「何笑ってんですか!」

「あ?……いや、だって……クク……声筒抜け…ひーうけるー」


「え?聞こえてました?」


「全部…クク…」


最悪……恥ずかし


そんな美優をよそ目に肩を震わせて笑いつづける優斗。


「もー!笑いたいなら思いっきり笑えばいいじゃないですか!」


「わ、笑ってなんか…ク、ないし」


笑い堪えてんの見え見えなんですが?


「母がお世話になりますと申しておりました」


「聞こえていました」


何さ!笑っちゃって失礼なっ


「でもそんなに怒ってなかったね」


「えぇ?」


「なんか、心配しきってた感じだったね」


「そうですか?」


「愛されてますねー」


「………」


それも全て、口元の緩みを堪えながら笑いを我慢して言っているもんだから、余計腹が立つ。


「先輩!お絆創膏頂けませんか?」


美優はわざと丁寧な言葉を使い、イヤミっぽく言った。


「え?いま貼るの?」


「えぇ」


「えーその前に風呂入ったら?」


「え……」


その瞬間、美優の腹立ちの鎧は崩れていった。


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