放課後のきみ

「お先でーす……」


「………」


あれ、先輩いない……?


「せんぱーい…?」


呼んでみても返事がない。
姿も見えない。


「ドライヤー借りたいんだけどなあ……」


美優は肩にタオルをかけている。

髪が濡れたまま、乾かすことが出来ない。


―しょうがない、タオルで乾かすしかないな……


美優はタオルで髪の水気を取りはじめた。






リビングの床の上に座り、タオルで髪をふきながら、改めて先輩の部屋を見渡す。


しっかしリッチな生活してんなー…


白い壁

広い部屋

..でっかいテレビ


全体的に白で統一されている。

しかし、リビングの真ん中の黒いソファーがあるところがセンスを感じさせる。


これ、先輩の好みなのかな?
だとしたら…かっこいいな


そんなことを考えていると、タオルを動かす両手は完全に止まっていた。




―ガチャ


.
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