放課後のきみ


今日、あれから橘さんは私に話しかけることはなかった。






―そして、今日もここに来る。


この場所に来ることは、美優の日課となっていた。
毎日毎日、放課後になるとここに来る。




この場所は美優にとって唯一の学校での居場所。


美優はただ繰り返すばかりいる日々は、生きている気がしなかった。


でも、ここに来ると居場所があるような気になる。
生きているような気になる。


勉強をしたり、居眠りをしたり、外を眺めてみたり…自由な空間なのだ。


誰も来ない。
誰も知らない。
私だけの場所。


楽しいか?と聞かれたとしたら……


簡単に頷く気にはならないけれど…


本当は少し寂しかったりする。
孤独を感じたりもする。



しかし、ここから離れる気にはなれない。


もう、ここから離れられないんだ。







考えてみるともう5月も終わる。
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