信じろ
見た目では、絶対に気付かれない自信がある。
喋っても、ボロを出すことなんてしない。
第三者からの漏洩も心配ない。
俺のことを売ろう、だなんて連中はとっくに潰した。
高校1年の秋。
中途半端な時期に、転校生が来た。
「中井和昌です、よろしく」
ポケットに手を突っ込んで棒読みで自己紹介したそいつが先生に促された席は俺の前の席だった。
夏休みが終わってすぐに退学した奴の席だ。
席に座るや否や机に突っ伏して寝る体制に。
肝据わってんな。
さっきのよろしくとは一体。
特に興味も湧くこともない、他の奴らと何ら変わらない一般人。
それが、俺の最初に抱いた和昌への印象だった。