それが答え〜やっぱり一緒に・・・〜
「一体・・・どうしたの?何かあったの?」


ようやく私の口から出たのは、こんな言葉だった。


「うん。」


頷く夫。


「実はさ、最近会社の同僚が離婚してさ。」


「えっ?」


「何日か前に、そいつと少し話をしたんだ。愛し合って結婚したのに、一緒にいるのが当たり前になって、感謝の気持ちを忘れたら、いつの間にか、心が離れていた。いや、忘れてたんじゃない、そんなこと言わなくてもわかってるだろう、伝わってるだろう。そう思ってた。だけど、それは間違いだと気付いた時には、もう手遅れだったって。その言葉を聞いた時、俺はドキッとした。」


隆司さん・・・。


「俺、最近ずっと朱美とちゃんと向き合ってないなって。朱美のこと、ちゃんと愛してるのに、ちゃんと感謝してるのに、面倒臭くて、照れ臭くて、何にも言えてねぇなって。反省した。」


「・・・。」


「だけど、いざとなると、やっぱり照れ臭くて、なかなか言い出せなくてさ。でもアイツらみたいに、手遅れになったら嫌だから、今日は絶対に言おうって、決心して、待ってたんだ。」


この人、ひょっとしたらエスパー・・・?


「いつも、疲れて帰って来てるのに、晩飯作らせて悪いなと思って、今日は作ってみようと思ってさ。カレー作ってみたんだ。カレーなんて、カレールー入れりゃなんとかなるんだと思ってたんだけど、そんなもんじゃないんだな。ゴメン、食材無駄にしちまったよ、勘弁な。」


もう、限界だった。
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