流されて付き合ってみたら意外と俺様でした


「晃太、テレビ始まった?」

「始まったよ」

私は佐伯香澄(さえきかすみ)高校三年、受験生です、一応大学を目指してる

そして同じ高校に通う一年生、弟の晃太(こうた)、バスケ部

お風呂から出てきた香澄は髪の毛をバスタオルで拭きながらリビングへやってきた
今日はアニメの映画がテレビ放送されるから二人で見ようとリビングに晃太はいた

ふぅ、と冷蔵庫から飲み物を持ってきて晃太の隣へ座る

「あー、あたしもこのお菓子食べたかったのにー」

「まだ残ってるだろ?」

スナック菓子をのぞきながら

「半分以上食べてるぅ」

「太るぜ」

「平日は食べないようにしてるもん」

と言いながらお菓子をつまむ

たわいもない会話をしながらテレビを見ていた
一時間後……

晃太の肩に香澄の頭が……

(全く~、いつも途中で寝るんだもんな)

晃太は香澄の持っていたバスタオルを自分の太ももに置き、香澄の頭をバスタオルの上にそっと置く

(髪の毛も乾かさずに、冷たいし)

晃太は香澄の髪の毛を触る

「晃太」

晃太はビクッとなった

(びっくりした~)
「何?母さん」

「お母さん、もう部屋にいくからリビングと香澄をよろしく」

「わかった、映画終わったら切っとく」


それから一時間半後……

(さて、運ぶかな)

晃太はテレビの電源を切り、香澄をゆっくり座らせ自分の背中にのせる

リビングの電気を切り二階へあがり香澄をベッドにゆっくり降ろす

(おやすみ、姉ちゃん)

香澄の部屋の電気を切り自分の部屋へ行く



次の日、月曜日の朝

「昨日……途中から記憶がない」

「姉ちゃんは絶対彼氏出来ても映画は行かないほうがいいと思うよ、誰がベッドまで運んだと思ってるんだよ」

「晃太様です」

「じゃあ、姉ちゃんコーヒー入れて」

「はいはい」

「返事は一回」

「はい、晃太様」

椅子から立ってコーヒーを入れにいく


30分後

「姉ちゃん行くよ」

「あー待って、体操服忘れた」

「ちゃんと前の日に準備しとけよな~」

「お待たせ、行こう」

二人は学校へ向かう

「もうすぐクラスマッチだね」

「俺はバスケに出るよ、一名は部活動生徒オッケーだから」

「私は何にしようかな~」

「バスケにして応援してよ」

「あー晃太のバスケしてるとこ見てれば退屈しのぎになるか」

「退屈しのぎなんてするなよ、ちゃんと応援しろよ」

「まあ、うちのクラスと当たらなければ応援してあげるよ(笑)」

「うわっ、上から目線」

「上だもんいいでしょ」

二人は学校に到着する

「おーす、晃太」

「おはよー、じゃあな」

香澄に手を振って離れる

「晃太って彼女いたっけ?」

「いないよ、あれは、姉ちゃん」

「姉ちゃんかー、可愛いな、何年生?」

「三年」

「あと半年か……残念」

「何が残念だよ」

「いやー、二年ならあと一年のうちに仲良くなれるかもって」

「何でおまえが仲良くなるんだよ」

「なってもいいじゃん」

「勘弁してくれ、姉ちゃんが友達と付き合うとかマジ無理」

一年生の校舎に入っていく……


昼休み三年の香澄の教室

「香澄、今日購買行くんだー、上がるのしんどいからさ、中庭で食べない?」

「いいよ、今日暖かいし」

二人は教室を出て中庭のベンチに座る

「じゃあ、買ってくる」

「はーい、いってらっしゃい」

玲奈は購買へ……香澄は携帯を見ていた

「あれ、佐伯、ぼっち飯?」

同じクラスの瀬戸幸太(せとこうた)が話かけてきた
香澄は顔を上げる

「違うよー、玲奈が購買行ったから待ってるの」

購買のほうを指さす

「俺は自販機にジュース買いに来た」

「ハハッ聞いてないよー」

「いやー、俺もぼっちかなと思われるかなと思って」

「思わないよ、瀬戸くんの周りにはいつも人がいるじゃない、何で遠い方の自販機に?」

「ちょっとこっちに用があってさ」

幸太はジュースを買って香澄の方に寄っていく

「危ない、よけて」

遠くから声がした
香澄のほうにサッカーボールが飛んでくる
幸太は香澄をベンチから引っ張り抱き抱える
ボールはベンチの手前でバウンドして転がった

香澄は何が起こったのかわからず耳元で幸太の声を聞いた

「大丈夫?」

155センチの香澄は188センチの幸太の身体にすっぽり入り幸太の手は香澄のウエストを大きな手でガッチリとホールドされていた

(なんだこの手の感覚、俺の中に収まるフィット感、細いウエスト、なんか俺の好きないい匂い)

「あっ、ありがとう」

幸太は思わずもう一度ぎゅっと抱きついた

(俺のものにしたい)

「すいませーん、大丈夫でしたか?」

幸太は顔を上げた

「瀬戸先輩、と姉ちゃん」

「晃太」

「え?」

「あっ、弟の晃太」

「ごめん、姉ちゃん当たらなかった?」

「うん」

晃太は香澄に手を出す

「姉ちゃん重いんだから瀬戸先輩が潰れる、立って」

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