流されて付き合ってみたら意外と俺様でした
「えっ、マジ?ヤバイ?」
「香澄の怒ったとこ初めてみたし、瀬戸くんが選んだならクラスの女子は祝福するよ」
「あっ、ありがと」
幸太は急いで体育館を出る
香澄と玲奈は着替えて教室に戻っていく
「もう、ホントに……」
「ほっぺじゃん、口じゃなかっただけよしとしなきゃ」
「みんなの前で、それも晃太の前なんて……玲奈だって家族に見られるの嫌でしょ」
「まあ、家族はねー、私も外ではしたことないな」
私達は暗くなった公園でしてるけど……イヤイヤやっぱり晃太の前では駄目だわ、純粋だもんね
教室のドアを開ける
何名か自分の競技を終えた生徒達がいた
今日は3時半を過ぎると自由解散になっていた、あと5分、時間待ちしているようだった
「あー香澄、瀬戸くんとつきあってるって?チューしたらしいじゃん」
「されたの、ほっぺに、何で知ってるの?」
「体育館にいた連中がグループに書いてるよ、よかったね、うちら香澄なら応援するよ」
「応援ってもう付き合ってるんだからおかしいじゃん(笑)」
「あっ、そっかー、瀬戸くんのファンに何か言われたら話聞くよってことがいいたかったんだ」
「ありがとう」
香澄は嬉しかった、内心不安だった、体育館の幸への声援を聞くと、堂々と付き合うには正直ためらっていたからだ
幸は平気かも知れないけど、とばっちりを食うのは私、大抵ヤキモチを妬く女子のほうだもんね、そういうのめんどい
「んじゃあ、うちら帰るね~」
「バイバイ」
「よかったね香澄」
「まあ、でも私帰るから、玲奈また明日ね」
香澄は鞄を持って教室から出る
廊下でも女子が噂をしていた
「あの子でしょ、瀬戸くんの彼女」
あのまま教室にいたらみんな帰ってきてまた騒ぎになる
早く学校から出たかった
男子が次々に教室に戻ってくる
「香澄は?」
玲奈に話しかける幸太
「帰ったよ、怒ってた」
「えー、まじ?やべぇ」
「あーあ幸太が怒らせた、別れろよ~」
「すぐ別れるかよ、あーもうついムキになっちまった、弟にヤキモチ妬いて俺は何をしてんだ」
「弟の前でしたってことが一番嫌だったみたいよ、走れば追い付くんじゃない?家も知ってるんでしょ」
「行ってくる、サンキュ」
「幸太~、打ち上げするかっていってるんだけど……」
「悪い、香澄を追いかける、グループに詳細入れといて、後で返事する」
幸太は走って出ていく
「青春だなー」
「かすみんにチューするからだよ」
幸太は門から出る
(いた)
「香澄ー」
香澄は走り出す
あいつマジやべえ、幸太は必死で走った
走るのはあまり得意じゃない香澄はあっという間に幸太に追い付かれた
香澄は捕まる
「離れて」
「ごめん、ハアハア、香澄ハアハア」
幸太は息を切らしていた
いつもの公園に手を引いて連れていく
むせかえって咳も出ていた
「バスケ、ハア、より……全力で……走ったかも」
香澄を芝生に座らせて逃げないように手を繋いだまま横になった
鞄は放り投げ仰向けになって大きく息をする
必死で走って追いかけてくれたのは少し嬉しいと思ってしまった
まだ息は整わないみたいだ
「どうして、晃太の前でしたのよ」
「……試合中、話しをしてて、姉ちゃんをもらうって言ったら、姉ちゃんはモノじゃないって言われて、つい、ムキになって晃太に話そうと思って……ああいう行動にでちまった」
幸太は起き上がって土下座した
「ごめん、許してほしい、別れるとか言わないでくれ、嫌いにならないで、香澄のことになると独占欲が出ちまって」
「他の人ならともかく晃太ごときにそんなこといっても弟なんだし……弟の前だから嫌だったのに……」
幸太は頭上げる
「別れるとか言わない?」
「別れるまでは思ってないけど怒ってた」
ほっぺたを膨らます
「よかった」
安心したのか全力で走ってきたので上着を脱ぐ
「暑っ」
幸太はブレザーのネクタイを外す
香澄は怒ってたはずなのによくアニメやドラマであるイケメンがネクタイを外すシーンを思い出してドキッとした
おでこにうっすら汗をかき、こめかみから汗が流れる…………怒りはおさまっていた
香澄はハンドタオルをポケットからだして幸太に渡す
「ありがとう、全力で走ってくれて……」
幸太はタオルを受けとる
「ほんとゴメンな、晃太に謝らしてほしい、みんな見てたし、晃太も何か言われてるかも知れないし、部活終わるまで待つから」
「もう少し場所を考えて」
「まだ、明るいからキスはしないから、ここへ来て」
幸太のあぐらの上にちょこんと座る
「はあ、落ち着いた」
「幸はさ~なんでそんなに自己中なのよ」
「香澄を俺のものにしたいからだよ、あっまた言っちまった、今のはナシね(笑)強引にいくとこはいかないと香澄が他の男のもんになっちまう、早く行動に出て正解だったし」
「どういうこと?」
「今日のバスケのメンバーはみんな香澄の事が好きだったんだよ」
「うそよ、あたしあんまり話せないのに」
「隠れファンだったんだって、向こうも話せないから見てることしかできなかったらしくてお前のことかすみんって呼んでた」