流されて付き合ってみたら意外と俺様でした


三人でスタジオを出る
幸太は別の部屋へ

「今日、幸ちゃんが彼女連れてくるって聞いてたんだー、かわいいね、あっ、ちょっとこれ着てみて」

「えっ」

「そこのついたてで着替えてみて」

香澄は言われるがまま着替えた

「あの、ちょっとこれは……」

樹里亜が覗く

「胸が意外とあるのね、きつそうね、じゃあこれ着て」

「着ました」

「うん、かわいい、ちよっとブラのヒモとるねー、長田さんメイクお願い」

「はい」

香澄はあっという間に樹里亜の言うがままに着替えとメイクをさせられる

「じゃあ、行こう」

二人でスタジオに入る

「おっ、香澄かわいいじゃん」

「いいわね」

「でしょ、お揃いにしてみたの、亮さん二人で撮って~」

「わたし?」

「友達とプリクラとる感じでリラックスしてね」

無理、無理、眩しいし
樹里亜が香澄のほっぺたをほぐしてくれる

「政美さん、香澄かわいいんだけど……」

「そうね、樹里亜とはまた違ったタイプね」

「俺も混ぜて」

幸太が二人の間に入る

「いいねー幸太くん、両手に花で」

「いいでしょー」

何枚か撮った後、樹里亜は抜けて幸太と香澄の二人で撮る

「亮さん一枚プライベートいい?香澄に後ろから抱きつくの俺好きなんだよ」

「いいよー、ラブラブしても」

「やったー、香澄可愛い~」

香澄の後ろから手を回して頬にチュッとする

「もう、やめてってば」

「ハハッ、悪いつい……」

二人はしばらく撮影していた

「使えるんじゃない?可愛いし、あたしこの子とするよりはいいわ」

雑誌に載ってる一人の女の子を指差す

「本人次第ね」

幸太と香澄が戻ってくる

「香澄ちゃんどうだった?」

「緊張しました~」

「着替えに行きましょ」

三人で着替えに行く
樹里亜は色々話しかけてくれた、二人で小さい頃からモデルをしてたこと

高校出てからモデルとリポーターの仕事をしてること
幸太の小さい時のことなど……

「また、撮りましょ」

「素人ですから」

「あっ、来た、香澄、来週今日の写真を見にこような」

「模試が終わってからだよね」

「もちろん、腹へったメシ食いにいこうぜ、じゃあな~」

「お疲れ様でした」

香澄は頭を下げてスタジオを後にする
二人はハンバーガーショップに入った

「もう、いきなりでびっくりしたよ、さすが姉弟だね、強引なところそっくりじゃん」

「まあな」

パクっとかぶりつく

「でも、お姉さん綺麗ねー、細くて、こんなカロリー高いハンバーガーなんて食べないんだろうなー」

香澄もかぶりつく

「食べるよ、体力いるし、香澄よりかは少ないけど(笑)」

「だろうね」

「気持ちな、ポテトとかドリンクとかは香澄より小さいサイズってこと」

「だって、足りないんだもん」

「樹里亜はもう酒が飲めるから食べるほうは控えてるんだよ、遅い時間は食べないし、だから連絡入れてもらうようにしてる、晩飯の都合あるし」

「幸がモデルしてることはあの声援をしてた子達は知ってるからなの?」

「地元の雑誌だけど知ってると思うよ」

あたしが見てないからかー、さっきから少しは視線も感じるんだよね

雑誌見てる子達なんだろうな、でも幸はちっとも気にしてないみたいだけど……

香澄はストローを加えて、携帯をいじっていた幸を見ていた
香澄の視線に気づく幸太

「ん、どした?」

香澄はううん、と首を横に振る
ドリンクを飲み干しズズッと氷の派手な音がする

「(笑)吸いすぎだろ、寒くないのか?」

香澄は軽く咳き込みながら大丈夫と合図する
幸太は大人っぽくホットコーヒーを飲んでいた

長い足を組んで片手にハンバーガー、もう片手に携帯を持ち、片耳だけイヤホンをつける幸太に店の窓からの日差しが当たると本当に写真をみているように格好よかった

香澄はボーッと幸太のほうをどれくらいみていたのだろう、幸太の指が香澄の唇を触るまで気づかなかった

「ソースついてる」

幸太は香澄の口についていたソースを指で拭い当然のように自分で舐めた

「こっ、子供じゃないんだからついてるって言えば自分でふくよ」

照れた香澄は紙ナプキンで自分の口を拭いた

「えー、漫画でよくこんな場面あるんだろ?ドキドキした?」

確かに漫画ではある、けど読むのと自分がされるのは違う

「恥ずかしいよ、お子様だと思ってるでしょ」

「お子様なら紙ナプキンで拭くよ(笑)」

それもそうか、店内の子供連れのお母さん達は確かに……
店内を見渡す

「ご馳走さま、俺、ちょっとトイレ」

「うん」

香澄はハンバーガーを食べ終えポテトをつまんでいた

「1人かなー」

「声かけてみる?」

「ねえ、1人?」

私のことかな、違うよね、と思っていたら肩をポンポンとたたかれた
私が振り向くとうちの学校とは違う制服の男の子が二人立っていた

「かわいいね、一緒にどう?」

「いえ、ごめんなさい連れがいるので」

「待ち合わせ、女の子?」

「違います」

幸太は自分の食べ終えたトレーを片付けてからトイレにいったので私が1人と思われたようだ
これがナンパっていうやつかな、1人で店に入ることがない香澄はキョトンとしていた

「俺の女だよ、ナンパならお断りだけど」

幸太が戻ってきた
二人の男子は幸太を見るとすいませんと立ち去った
香澄の隣に座る

ポテトを食べ始めた香澄に幸太は香澄のくわえてるポテトを食べ始め香澄の唇に到達した

「んっ、喉につまるじゃん、もうジュースないのに」

「ナンパされてんじゃねーよ」

幸太は少しムッとしていた

「あれがやっぱりナンパなんだ、へぇ、いるんだね」

「お前なー、俺いなかったらどうするんだよ」

「だって、幸はトイレだからすぐ戻ってくると思ったし、こんな店で無理はしないし、制服きてるから誰かにバレると向こうが不利じゃん、部活動生だと思うし」

「以外と冷静だな」

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