流されて付き合ってみたら意外と俺様でした
夕食の後、香澄が二階から下りてくる
「お母さん、お父さん、私立の高園大学に行きたい」
「連絡きたの?」
「うん」
晃太がお風呂から出てくる
冷蔵庫から飲み物を出して飲み始める
「何?大学?」
「うん、幸が高園大学に行くっていうから、今日私も国立は難しいかもっていわれたから同じ大学行きたいなと思って」
「俺も行きたい、そしたら先輩と2年一緒にプレーできる」
「晃太の成績じゃあまだ厳しいわよ」
「うん、まだ一年だしこれから勉強頑張る」
「香澄が受験生のはずなんだが……」
「本当にね」
「まあお父さんとお母さんは地元に残ってくれるならかまわないよ」
「ありがとう、お父さん」
日曜日、模試が終わり香澄と幸太は事務所に行く
「こんちわー」
政美はパソコンで見ていた
「今、見てたのよ、香澄ちゃん、幸太みたいにバイトしない?」
「バイトですか?」
「そう、モデルだけじゃなくて、樹里亜
のマネージメントをしてもらいたいの」
「樹里亜に香澄のことばっか聞かれるからな、お前気に入られたんだよ」
「まあ、そうね、樹里亜が香澄ちゃんとやりたいって言ったのは事実よ」
本当に強引だな、瀬戸家……
でも、私受験生なんだけどなー
「樹里亜は昔から仕事してたからあまり学校の友達とかもいなくてね、周りが大人が多かったから学校の友達は子供っぽいとか言ってあまり同年代の友達がいないの、もう1人大学生のモデルがいるんだけど性格が合わなくてね」
政美は苦笑いする
「家でもそうとう愚痴ってる、相手にしなきゃいいのにって言うんだけど、向こうが話しかけてくるのよ、とかいってる」
「樹里亜さんのほうが先輩なんでしょ?」
「もちろん」
樹里亜さん、あんなに綺麗でベテランなのにそんな言われることあるんだ
「受験生なのはわかってるわ、クリスマス頃までで、年末からは受験終わるまでは勉強していいから、どうかしら」
「ちょっと急なお話しなので家の者と相談してみないと……」
「これ、この間の写真よ、家の人と見てちょうだい」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、俺ら帰るね」
「失礼します」
「ねえ、お母さんに見せたいからうちに行かない?」
「いいけど」
香澄は晃太にメールする
‘今、家にいる?’
‘いるよ’
‘幸と帰るからお母さんに伝えておいて’
‘りょーかい’
二人は香澄の家に到着する
「ただいまー」
晃太が走って二階から下りてくる
「先輩、お久しぶりです、どうぞ」
「お邪魔します」
二人はリビングへ
「あれ、お父さん、今日出かけるっていってなかったっけ、車なかったし」
「車を預けにちょっとメンテナンスと車検でな」
「初めまして、瀬戸幸太です、香澄さんとお付き合いさせてもらってます」
「こちらこそ、香澄みたいなずぼらな子で迷惑かけてないかい?」
「いえ、そんなことないです」
「姉ちゃんの素が出るのは一緒に暮らさないとわかんないですよ、先輩」
「じゃあ、いずれわかるときがくるのかな?」
幸太は微笑んだ
幸、恥ずかしいよ、それって将来住むことって言ってるようなものじゃん
確かに幸は綺麗好き、家はいつも片付いてる、まだ将来のことなんてわからないよね
「これ、見ていただけますか?」
幸太は政美からもらったCD を渡す
「あっじゃあパソコン持ってきます」
二階からノートパソコンを持ってくる
晃太が開いてCD を差し込むと先週撮影した写真がでてきた
「香澄かわいいじゃない」
「そう?へへっプロのカメラマンに撮ってもらうと違うね」
「先輩、足長っ」
「身長が高いからな」
「姉ちゃんと並ぶと身長差すごいっすね」
「香澄は身長何センチ?」
「あたし、155」
「じゃあ33センチ違うな」
「瀬戸くんはやっぱりモデルって感じだな、香澄の隣にいる子も綺麗だし、親は自分の子供は確かにかわいいがやっぱり背が低いからなー」
「充分かわいいですよ、クラスにも香澄のファンがいるらしいですよ(笑)」
「七、五、三以来だよな、写真なんて、次は成人式と思っていたが……」
母がコーヒーを入れてやってきた
「あら、モデルの樹里亜ちゃんじゃない」
「お母さん知ってるの?」
「お母さんの仕事場に雑誌おいてあるからみたことある、最近レポーターもしてるわよね」
「はい、姉です」
「まあ、そうなの美男美女姉弟ねー」
「叔母が社長なんです、僕は部活とかあったので時々バイトでモデルしてるんですけど樹里亜が香澄のことを気に入ってしまって、香澄にマネージメントというか話し相手になって欲しいらしくて、もちろん本格的には受験が終わってからなんですけど時々モデルもあるかもしれません、香澄かわいいからファンがつくかもしれないので」
「お母さんは賛成よ、女の子はやっぱり憧れるわー」
「まあ、大学受かれば今はバイトもするだろうしそれはいいんだが、香澄にモデルはなー」
「樹里亜さんの引き立て役じゃないの?」
「晃太~」
「また、改めて叔母のほうからご挨拶にうかがいます」
「幸太くん、ご飯食べて帰って」
「あっ、ご迷惑では」
「寿司でもとるの?」
「何にしましょうかね」
「先輩、バスケの動画見ましょう」
晃太はパソコンで動画サイトにつなぐ
二人のコウタはバスケ動画に夢中になっていた
香澄は自分の部屋に上がり着替えをすませる