流されて付き合ってみたら意外と俺様でした
一方香澄は初めてのバイトをしていた
樹里亜のマネージャーとしてスタジオに来て衣装の確認をする
メイクの長田さんに色々聞く
「衣装って今までは誰が用意してたんですか?」
「樹里亜か、社長よ、大手じゃないからスタイリストなんて雇えないし」
「そうですか、元々のセンスがいいんですかね」
「自分でも他の雑誌をよく見てるわよ」
香澄も雑誌を今日買って帰ろうと決めた
全く服に興味なかったから、これからは少し勉強もしないとな
受験勉強が勿論一番なのだが香澄は性格的に一度やりだしたらのめり込むところがある
とりあえず一週間のバイトで出来ることはしよう
そして後は受験勉強だ
香澄は樹里亜の仕事をじっと見つめていた
香澄はスタジオ終わりに樹里亜と事務所に来ていた
「これ、来月の予定ね、香澄は19日が試験日だから終わった週末から土日に入れてるから」
「はい」
「こんにちわー」
1人の女性が事務所に入ってきた
「こんにちは」
香澄は挨拶をした
「あー、あなたが新しい子?」
「はい、佐伯香澄です」
「よろしく、私は亜由美」
「じゃあ、亜由美にも来月のスケジュールよ」
「はーい」
樹里亜が尋ねた
「香澄は何時まで?」
「春までは7時にしてあるわよ」
「そう、わかった」
「香澄ちゃんだっけ、高校生なの?」
「はい、春から大学生の予定です」
「へーじゃあ私と1つ違いだね、私大学一年だから、どこ受けるの?」
「高園です」
「そっかーあれ、幸太くんも確かこの間受けるって言ってましたよね、樹里亜さん」
「香澄は幸太の彼女よ」
「えーー」
亜由美は大きな声を出した
「今月号じゃあ、二人がうつってたのは……」
「撮影に幸太が連れてきたのよ、これからは樹里亜のマネージメントを主に、時々モデルをしてもらうわ、亜由美もちゃんと仲良くしなさいよ」
政美が念を押す
ん?ちゃんと仲良くって樹里亜さんと仲が悪いのがこの人なのか
香澄は樹里亜の方を見るとスケジュールを自分のスケジュール表に書き写していた
「樹里亜さんが外の仕事が増えてきたから幸太くんとの撮影が増えると思ってたのに」
亜由美は残念そうに唇をとがらせた
幸のことがお気に入りなのか、めんどそうだな……
香澄は自分の予定を見た
「25日、樹里亜さんの仕事入ってますけど、私はお休みでいいんですか?」
「あー、その日の仕事はちょっと郊外で、車じゃないと不便だから私が運転していくわ」
「幸ちゃんが休みにしてっていったんじゃないの?」
「まあ、確かにクリスマスだからとはいわれたわよ、最初なのにーって(笑)」
「幸ちゃんが言うなんて香澄のこと本当に好きなのね」
「幸太くんといつから付き合ってるの?」
「秋からです」
「まだこの間じゃん、私に乗りかえてくれないかなー」
亜由美さん、本人目の前にして冗談きつすぎです
香澄は作り笑いを浮かべた
「あっ、でも25日はお墓参りにいけるので幸もそれを考えてだと思いますよ」
「お墓参りってママの?」
「はい、月参りになるべく行こうって私が言ったので……まだ二回しかいけてませんが」
「香澄は古風なのね、幸ちゃんが好きになるのもわかるかも、幸ちゃんはママの事大好きだったから……」
「そんな古風でもないですよ、普通ですよ、樹里亜さんそろそろ行きますか?」
「あっ、うん、じゃあ次の現場いってきます」
樹里亜と香澄は事務所を後にした
「あーあ、幸太くんに彼女ねー、告っとけばよかったかなー気まずくなるの嫌だったから我慢してたんだけどな」
「幸太は高校入ってからは告白されても付き合わないって言ってたわよ、亜由美が言っても無理だったと思うけど」
「そんなぁ、じゃあ卒業するまでフリーでいてほしかった」
「自分から好きになったからでしょ、仕方ないわよ」
……私も時々顔をださなきゃね……義姉(ねえ)さん
幸太はいい子を見つけたみたいよ……政美は窓の外から空を眺めた
24日クリスマスイブ
香澄はバイトを7時に終わり幸太に連絡を入れた
「今、終わったよー、どうする?」
「香澄、疲れてる?」
「まあ、ね」
「じゃあ、明日ゆっくり会おう、今日はゆっくり休んでいいよ」
「わかった、じゃあ起きたら連絡するね」
「ああ」
ふう、幸のことだから家に来いっていってイチャイチャするのかと思ったけど正直今日は疲れた
イブだから人も多かったし、寒いし、香澄は家に今から帰ると連絡し電車に乗った
「ただいまー」
「おかえり、お腹すいたでしょ」
「うん、着替えてくる」
二階からおりてくると晃太が帰ってきていた
「晃太早いね、バスケのクリパじゃなかったの?」
「終わったよ、午後練習の後にそのままカラオケいったから、彼女とかいるヤツいるし二時間で終わったよ」