流されて付き合ってみたら意外と俺様でした
香澄は晃太の手を持って立った
香澄の制服をはたいて草や砂をはらう
「瀬戸先輩すみません、姉ちゃん助けてくれてありがとうございます」
「晃太か、姉弟だったのか二人は」
「はい、先輩はケガは?」
「大丈夫」
「すいませんでした」
ボールを拾って仲間のところへ戻る
「ごめんね、重かったでしょ」
「いや、全然平気、むしろよかった」
「え?」
「なんか……」
幸太は自分の手を見る
「あのさ……」
玲奈の声がした
「お待たせ~」
幸太は言葉を呑み込んだ
「じゃあな」
玲奈と入れ違いに幸太は去っていく
「今の瀬戸くんじゃん、どうしたの?」
「あっ助けてくれて……」
さっきの出来事を玲奈に話した
「瀬戸くんがジュースを買いに一人でここまでくるなんて、告白でもされてたんじゃないかなー、よくこの裏に呼び出す子いるからね」
「そうなんだ、玲奈も呼び出されたんだね」
「あはっ、まあね」
「それが今の彼氏?」
「うん、そうだよー」
玲奈には去年の文化祭から彼氏がいる
二年の時、文化祭実行委員になり1つ年上の先輩と仲良くなり付き合うようになったらしい
「瀬戸くんもあの身長にあの顔、バスケ部エースだからモテるだろうね、でも彼女作らないって誰かいってたな」
「なんでだろ」
「さあ、部活を本気でやりたいからって断ってると聞いたことはあるけど、引退したからね、だから今告白とかされてんのかな」
「へー」
ちょっと耳元での声はドキッとしたけどな、いい声だった、普段教室では感じないけど私の好きな声優さんの声に似てた
香澄は今頃になって恥ずかしくなってきて顔が赤くなってきた
「香澄、上がろう」
「うん」
香澄は教室に入ると幸太と目が合う
お互いにそっとそらす
(そういえば、何かいいかけてたような……)
「ただいま」
晃太が部活から帰ってきた
「おかえり」
「姉ちゃん今日ごめんな」
「うん、大丈夫だったから」
「瀬戸先輩かっこよかったなー、すぐ動いて女の子助けるなんて中々できないよな、尊敬する」
晃太は椅子に座る
「助けたのが姉ちゃんってとこが微妙だけど、あんなことされたら先輩のこと好きになるんだろうなー」
晃太にご飯をついできた香澄はお茶碗を置き晃太にエルボーした
「私がじゃあ当たってもよかったのかな?」
「ギブアップ、姉ちゃん飯食えなくなる」
香澄は回していた腕を外す
(何気に姉ちゃん胸あるからな、無防備も困る、平気で胸当たってくるしな)
晃太は食事しながら話す
「瀬戸先輩って後輩からもリスペクトされてるんだー」
「へー、そうなの」
「プレーも上手くて学ぶとこ一杯ある、夏までしか関わりなかったけど可愛がってもらったから一年生はみんな瀬戸先輩を好きなんだよな」
「クラスでもやっぱり男子は瀬戸くんの周りに集まってるよ」
「同じクラスなんだ」
「うん、一学期は席が後ろだったから時々話したけど今は席が離れてるからあまり話してない」
「これからは姉ちゃんをダシにして話そうかな」
「あたし使わなくても瀬戸くんは話してくれるでしょ?」
「今度大会前だから先輩達が練習相手に来てくれるっていってた、楽しみ」
一週間が過ぎた
ホームルーム
「二週間後のクラスマッチの出場種目を決めます、各自黒板に書いて帰ってください、明日の放課後から練習です、体操服を持ってきてください」
「香澄は何に出る?」
「弟がバスケでるからバスケにしようかなー」
「じゃあ名前書くよ、さっさと決めちゃお」
玲奈は黒板に書きにいった
香澄は黒板を見る
(瀬戸くんもバスケか、まあ上手いっていってたしな)
同じ頃幸太も黒板を見ていた
(佐伯もバスケ……)
幸太は自分の右手を見る
(もう一度この手で触りたい、あの感触……俺変態?好きなのか?なんだろう佐伯の匂いが気になる)
「幸太~帰ろうぜ」
友達が誘いに来た
幸太は席を立ってドアに向かう
「おっ、クラスマッチ決めてたのか?」
「ああ」
「お前のクラス、バスケ部一人だから出れるんだな、俺は出れなかった」
「まあ、お前のクラス三人もいるからな」
「幸太、明日からバスケの男女とも指導頼むな」
「男子だけじゃねーの?」
「女子は経験者いないみたいだから時々でいいから見てやってくれよ」
「わかった、じゃあな」
教室を出ていく
「今週末、部活いくだろ?」
「行くよ、身体動かしたいしな」
「大学の推薦きてんだろ?」
「迷ってるんだよなー、今度の懇談会までに決めないとな」