流されて付き合ってみたら意外と俺様でした
「何かつけてる?」
「着替えの時に制汗スプレーはしたけど……」
「香水とかは?」
「つけてないよ」
「じゃあ佐伯のフェロモンかな、そそられるんだよ、この間思ってもう一度確かめたかったんだ」
「そんな……確かに私も包まれてる感はあるけど、私くらいの身長の子なんていくらでもいるし、背の高い瀬戸くんなら誰だって納まるんじゃないの?」
幸太は右手をゆっくり動かす
「身長だけじゃない、手のひらの感覚も匂いも」
幸太は右手を香澄のウエストのクビレを触る、左手を今度は前に回しおへその上へ
左手の親指が胸の間に、後の四本の指が胸の膨らみに触れる
「やっ、瀬戸くん」
幸太の手がピタッと止まる
「悪い」
幸太の両手は香澄の肩から前におりてきて香澄を後ろからぎゅっと抱く
香澄の耳元で幸太が囁く
「香澄……」
(あっ、この声いい)
香澄は目をつむって声に感じていた
幸太の右手は香澄の頬に当てられ香澄の顔は簡単に左を向き幸太に唇を奪われた
(ヤバイ、流されてる……でも……気持ちいい……)
「はぁ」
一度唇は離れ息をした途端すぐに幸太の舌が香澄の中に入ってきた
「んっ……」
幸太の身体はどんどん香澄の上に覆いかぶさっていき二人は芝生の上に横になった
幸太はキスをやめて自分の下にいる香澄を見つめる
香澄は軽くハアハアと息をする
幸太も肩で息をしていた
「香澄……抱きたいと思ったのはお前が初めて、好きになった、俺と付き合おう」
香澄は息がきれて言葉にならなかった
目をつむって深呼吸する
ふぅ~
「……んっ」
言葉にする前に幸太がまたキスを上から落としてくる
幸太は左手をスカートの中へいれてくる
香澄は両手で拒んだ
「瀬戸くん……」
幸太の動きは止まった
香澄を起こして抱き締める
「悪い、止めれなかった」
「うん、ちょっとそこまでは……」
幸太は立ちあがり香澄の手を引いて立たす
「帰るか」
「うん」
二人は公園を出て歩きだす
「この間、中庭に一人でいたでしょ?ジュース買うって言ってたけど告白されたんじゃないの?中庭ってよく告白される場所なんだってね」
「あぁ、まあ、そうだったけど断った」
「そう」
「何?気になった?」
「玲奈が言ってたの、瀬戸くんがあんなとこで一人でいるのはおかしいって」
「へー、鋭いな、部活で今まで逃げてきたから最近多いんだ、部活必死でやりたかったのは本当の事だぜ」
「私とは女よけで付き合うの?」
「なっ、バカにするなよ、好きになったっていっただろ、信じろよ」
「だって強引だし、その、触ったし、抱かしてくれたらいいんじゃないのかなって思っちゃったもん」
「香澄のフェロモンにやられたんだよ」
「いきなり名前呼びだし」
「いけないのか?自分の女呼び捨てにしていいだろ?」
「言う前に呼んだじゃん」
「ごちゃごちゃうるせえ、また口塞ぐぞ」
「うっ」
香澄は黙った
なんか瀬戸くんじゃないみたい
香澄の家に着く
「ここなの」
「近いな」
香澄は時計を見る
「もう、こんな時間だ、晃太も帰ってくるよ」
「じゃあそれまでキスするか?」
「やめてよ家の前なんて、瀬戸くんさあ、教室にいる時と違う」
「香澄の前では素をみせないとな」
「えっ、学校では猫かぶりなの?」
「普通だよ(笑)」
「だって何か、何かー」
「何だよ、香澄の事大事にするよ、でも早く抱きたいけど(笑)」
「そんな恥ずかしいこと言わないでよ」
「キス気持ちよさそうだったじゃん、香澄も素直になれよな」
「なっ、もう知らない」
「姉ちゃん?」
「晃太、おかえり、えっと瀬戸くんが晃太に渡したいものあるって」
「先輩、昨日言ってた分ですか?」
「あぁ」
鞄からDVD 出す
「ありがとうございます、先輩今週土曜日午前中練習来て、終わってからうちで一緒に見ませんか?」
「晃太、迷惑でしょ」
「いいよ」
「やったー」
「じゃあ、俺帰るな」
「ありがとうございます」
晃太は深々と頭を下げる
「だいぶ先輩待たせた?」
「そうでも、今日からクラスマッチの練習で遅かったからね」
二人は家に入っていく
「ただいま」
「あら、一緒だったの?」
「母さん、土曜日先輩とDVD うちで見ていい?」
「お母さんとお父さん出掛けるわよ、香澄がいるでしょ」
「姉ちゃんかー、先輩にお昼作れんの?」
「何でも食べれるでしょ、適当に作るよ」
「適当かよ」
その日の夜、幸太からメール入ってくる
‘土曜日楽しみ’
‘はいはい’
‘何?その返信、嬉しくねぇの?’
メールでも別人みたい、何て返せばいいんだろう、めんどくさいな
‘食べ物、嫌いなものある?’
‘香澄が作ってくれんの?’
‘うん、両親が出掛けるらしいから仕方なく’
‘俺のためにとか、素直になれよ’
‘じゃあ、晃太の大好きな先輩の為に(笑)’
‘全く~、好きだよ香澄’
(えーどう返すのよ……どうしよう、あたし瀬戸くんの事好きなのかな、まだ正直いってわからない、本当の事言っていいかな)
‘私……突然でまだ瀬戸くんへの気持ちわからない’
‘いいよ、絶対好きになるから、明日帰り公園にいるから来て’
‘わかった、おやすみなさい’