流されて付き合ってみたら意外と俺様でした


次の日、玲奈に昨日の事を聞かれる

「誰にも言わないでね、一応告白されたけど……」

「うんうん」

「返事はしてない」

「何で~」

キスのことはさすがに言えなかった

「びっくりして……だって瀬戸くんだよ?あたしなんか釣り合わないよ」

「釣り合うとか釣り合わないとかは誰が決めるの?自分が付き合いたいかどうかでしょ」

確かに玲奈の言う通りだ

「でも、怖い」

「何が?」

「あそこで笑ってる瀬戸くんと違うもん」

「違うっていっても瀬戸くんは瀬戸くん、私だって彼の前ではかわいくしてるよ、長く付き合うとまあそれなりに慣れてくるとこもあるけどさ、何がどう違うの」

「何ていうか……強引、偉そう、でも……」

「でも?」

「言わないでね」

香澄は玲奈に耳打ちする

「あのね、近くで話されると私の好きな声優さんの声に似てるの」

「そっか、そっから入ってもいいんじゃないのかな、一杯囁いてもらえばいいんだよ」

「いいのかなー」

「一杯話してごらんよ、香澄は男子とあまり話さないからさ」

「……うん」

放課後、香澄は公園に行くと昨日のベンチに幸太が座っていた
幸太は携帯をみていたが香澄に気づき携帯をポケットにしまう

「よかった、来てくれて」

「来なくてよかった?」

「いや、来てほしかった、俺の予定では本当は昨日からちゃんと付き合いたかった」

「何で?」

「昨日俺の誕生日だった」

「嘘」

「ホント」

「おめでとう」

「ありがとう、携帯の俺のプロフィール開いてみて」

香澄は幸太の画面を開く

「本当だ、誕生日書いてるし、バースデーカードとかきてるね、ちょっとでもやっぱり瀬戸くんの友達の数すごいね」

幸太は香澄の肩に手をまわして顔を近づける

「香澄の誕生日は?」

香澄は声にゾクゾクした

「あの、7月だよ」

「香澄って耳弱い?昨日も感じてたよな」

香澄は真っ赤になった

「感じてた?」

「うん、いい顔してた、そそられたし」

幸太は耳に近付く

「いい匂いだし、フッ」

耳に息をふきかけられる

「こそばい、やめ……」

口を塞がれた、どうしよう瀬戸くんから逃げられない……

「俺と付き合うよな、香澄」

香澄は自然にうなずいていた

「よし、明日からは門で待ってるからな」

香澄を持ち上げて自分の上に座らす

「俺の足をまたいで、足は開いて」

「やだ」

「やれよ」

香澄の片足を持ってまたがせる
幸太は右手で香澄の頭を支え、左手は腰に当て、自分の体に密着させずっとキスをした

それからは門で玲奈と別れ幸太の少し後ろを歩き公園で話したり抱き合ったりキスをしたりして家に帰るようになった
そして金曜日のクラスマッチ練習中

「香澄、いくよ、パス」

香澄はボーっとしていてボールが香澄のほっぺたに当たる

「痛い……」

みんなが駆け寄る

「香澄、大丈夫?」

幸太が寄ってくる

「どうした?」

「香澄の顔にボールが当たって」

「保健室行こう」

「大丈夫だよ」

「血が出てるから、いくよ」

幸太が手を引っ張って連れていく

保健室

「失礼します、先生~、あれ、いない」

「だからいいって」

「駄目、俺が手当する、座れ」

二人になると命令口調なんだから……

「かわいい顔に傷残すなよ、っていうかお前熱あるぞ」

「へっ」

「手つないだら熱かったし、体温計、ほら」

香澄は体温計で測る
7度8分あった

「ほんとだ」

「今日は帰って寝てろ、明日遊べないだろ」

「明日は晃太と遊ぶじゃん」

「俺と二人がいいって言えよ」

「言わない」

「もう、そういう意地っ張りなとこもいいな(笑)」

二人は保健室を出る

「あっ、帰ってきた」

「みんなごめん、熱があったみたいだから私帰らせてもらうね」

「マジ~、大丈夫?」

「うん、ありがとう、ごめんね」

香澄は家に帰る

「ただいま、お母さん風邪薬」

「あら、しんどい?」

「少し熱がある」

「パンあるから食べて寝てなさい」

「はーい」

晃太は部活が終わって携帯を見た

‘晃太、姉ちゃんの具合どう?熱があって帰ったんだけどメールしたけど既読つかないから寝てるのかな、明日しんどそうならお邪魔する日を変えてもいいからな’

‘お疲れさまです、今から家に帰るので帰って様子みてみます、少し待っててください’

全く姉ちゃん何やってんだよ、先輩に気つかわせて
晃太は急いで家に帰る

「ただいま、姉ちゃん熱があるって?」

「今寝てるわよ」

晃太は二階に上がっていき香澄の部屋に入る
おでこ触る

(少し熱い)

「晃太?」

「先輩がメール返信ないから様子どう?ってはいってきた、無理なら日を変えてもいいよって」

「鞄から携帯とって、返信しとく、いいよそこまで高くないし二人で語りなよ、昼はお弁当でも買って帰って」

「わかった」

「汗かいた、着替え出して」

香澄は服を脱ぐ

「俺いるんだけど」

「キャミソール着てるし」

晃太はタンスから服を出して渡す
香澄は服を着て

「喉乾いた、下に降りる、おんぶして」

香澄をおんぶする

「姉ちゃん重いし、何気に胸あるからむかつく」

「何よ、私くらいかつげなかったら男として情けないよ、明日さプリン買ってきてよ」

「わかった」

「晃太好き、私の言うこと聞くから」

「姉ちゃんがすぐすねるからだよ、俺くらい寛大じゃないと彼氏できたら大変だよ」

「そっかなー、こんなでもいいって言ってくれる人じゃないといけないねー」

「はい、到着」

晃太は肩を回す

「そんなに肩にくるほど重いかな、軟弱者」

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