流されて付き合ってみたら意外と俺様でした
「香澄はやっぱりわかってるな、昨日言ったのがそういうことだよ」
「あっ、なるほど~食べていい?」
「うん熱いうちに食べて」
香澄は大きく口を開けて頬張る
「熱っ、旨っ~お店の味みたい~おいひい」
香澄は口に頬張りすぎてうまく話せなかった
幸太は嬉しそうに香澄を見る
「チーズも入ってるぅ好きぃ」
「俺のことも好きっていえよ」
「あはっ、それは別ぅ~」
「なんだよ、かわいいな」
二人は楽しく食事をする
いつもの学校帰りの時間とはまた違った二人の新鮮な時間だった
楽しいな、香澄は素直にそう思っていた
「ご馳走さま」
香澄は立って食器を下げる
「おいといていいよ」
「食べさせてもらったのに食器くらい洗わせて」
「そうか、悪いな」
幸太もスープを飲み干し手を合わせる
「美味しかったよ」
「本当?よかった香澄の口にあって、家族以外で食べさせたことなかったから実は内心ドキドキしてた」
「えっ、意外だね、俺の作ったもの食えねえの、とか言うのかと……」
「食べなかったら言うかも(笑)……香澄が素直に食ってくれたから何も言うことはないよ」
「私、あまり好き嫌いないから、あっ納豆がちょっと苦手かな、瀬戸くんは何が嫌い?」
「俺……言うの?」
「あるんだ、何?」
「レバー」
「へぇ、もう少し大人になってお酒とか呑みだしたら食べれるようになるかもよ」
「そっかな」
「うん」
「俺の部屋行こうか」
幸太の部屋へ入るとすぐ幸太はベッドに向かい香澄を後ろから抱く
香澄の肩に顎をのせる
「香澄、はぁ、やっぱその気になれない?」
「待ってくれるっていったじゃん」
「うん、そうだな」
幸太は香澄を抱いたまま横になる
「キャッ」
香澄はびっくりして声を出した
「もう……んっ」
香澄の身体は簡単に幸太のほうにくるっと回され口を塞がれた
力では勝てない
横になってキスされるとこのまま最後までいってもいいかと思う
瀬戸くんのキスは好き、恥ずかしくて素直に言えないけど、声も好き、でも瀬戸くんの事は……
幸太の激しいキスに香澄はぼーっとなってきた
気持ちいい……
「……香澄」
香澄はうっすら目をあける
「お前キスでイクなよ」
香澄は真っ赤になって幸太から離れようとした
幸太はがっちり香澄をつかんで離れることが出来ない
「離して」
小さな声で香澄はつぶやいた
幸太は力を緩め、香澄の髪をなでる
「悪かった、ごめん」
そういうと幸太は優しく抱き締めた
「……俺、香澄のことになるとちょっと冷静になれないというか、かわいすぎていじめたくなる」
香澄は顔を上げて幸太を見る
「どうして?」
「わからない、好きだからかな」
「好きな子いじめちゃいけないでしょ」
幸太は香澄をまたギュッと抱き締めた
「自信?がないのかな」
「いつも余裕じゃん」
「香澄に関しては全然余裕はないよ、だから偉そうに言ってしまうのかも、香澄は付き合うことに頷いてくれたけどあの時はやっぱり強引だったと後から反省したしキスもいつも俺から強引にするし、それに……」
幸太は言葉を詰まらす
「香澄は俺のこと好きっていってくれない……無理矢理つきあわせてるかな……だからちょっと意地悪してしまってたかも、それが嫌だったら謝る」
幸太は少し震えた声で言った
「自分から好きになったから大事にしないとな、もう言わないから」
幸太は香澄を離してベッドから降りて部屋から出ていく
どうして私も素直になれないんだろう、瀬戸くんに助けられてから気になってきてたのに、キスされると嫌じゃないから受け入れるのに、瀬戸くんのことやっぱり好きになってるんだよね
只、うまく気持ちを伝えれない、メールも恥ずかしいし口で言うのも……瀬戸くんも私が好きっていってないことわかってたんだ……やっぱりちゃんと言うべきだよね
幸太が飲み物を持ってきて戻ってきた
「香澄、ジュース持ってきたよ」
「ありがとう」
香澄は受け取ると一気に飲み干した
「(笑)どした、そんなに咽渇いてたのか」
香澄は正座する
「香澄?」
「瀬戸くんのこと嫌いじゃないよ、不安にさせてるんだよね、私が瀬戸くんに釣り合わないんじゃないかって心のどこかで思ってて……付き合うのも初めてだし、キスも瀬戸くんが気持ちよくしてくれるけど上手く返せないし、す、好きっていう言葉がどうしても恥ずかしくていえなくて、そのことで瀬戸くんを……ゲップ」
香澄は両手で顔を覆った
「ごめんなさい、恥ずかしい……」
「(笑)おかしっ、香澄、これ微炭酸のジュースだよ、一気に飲んでしゃべるとゲップでるし、ハハッ」
香澄は軽いゲップをまだしていた
幸太が背中をさする
「かわいすぎてツボるんだけど(笑)」
「もう、やだ」
ベッドに顔をつける
瀬戸くんの匂いだ、布団をかぐ
「変態」
「なっ、見ないで」