※怪異にご注意※
怪異が存在する?
とても信じ難い話だ。
「まぁ、最初は信じられないのも無理はない」
うんうん。頷きながら鶴伽様は笑った。
「最初はって、これからも無いかもしれないですよ」
あたしはそう言い立ち上がった。
「かえります」
ここに来たのが間違いだったのかもしれない。
ヒモ君の感もまだまだだな。
あたしはそう言い残して部屋を出ようとした。
「待ってくれ」
そう聞こえ、あたしの腕がぐっと後ろへ引っ張られる。
「ぅわ?!」
あたしはその反動でバランスを崩してしまった。
転ぶ?!!!
そう思った瞬間にあたしの体はがっしりとした腕に包まれた。
「俺を信じてくれ」
あたしの頭上から掠れた優しい声が降ってくる。
懐かしいような、暖かい声。
その声になぜか安心した。
その声の方見ると、目の前にはレンズ越しの綺麗な茶色の目。
整った顔立ち。
初めてあった時には気づかなかったけど、凄い綺麗な顔をしている。
あたしはその瞳に吸い込まれそうになった。
あれ?
あたし…会ったことがある。
この感じ、どこかで…
「どうしたんですか」
「「うわっっ!?」」
急に後ろから聞こえた声にあたしと鶴伽様はお互いに急いで離れた。
別にやましい事なんて何も無いのに。