学校一クールなキミのお世話係になりました
「ばあか。人間の原動力はエロなんだよ。俺はまずこのリボンを取ることを目標にして頑張るんだ。イテテ。やっぱ、なんか硬直してるな、この指」


痛みに顔をしかめながら、アホみたいな目標を掲げる北原君。


だけどなぜか、瞳は真剣だ。


「やっぱり痛い?あとで、怪我していない指、マッサージしてあげるからね」


「ありがと」


彼はにっこり笑いながら、まだ私のリボンを掴んでいる。あくまで自分流のリハビリはやめないつもりらしい。


「アンコは優しいよな」


なぜかしみじみ呟く彼。


「そんなことないよ」


目と目が合うと、微笑みあった。


それから、彼の右手の包帯をはずして軟膏薬を塗ってあげて、また包帯を巻きなおした。



< 106 / 303 >

この作品をシェア

pagetop