学校一クールなキミのお世話係になりました
別に彼に義理立てする理由なんて、ないんだけどさ。


でもこのくらいなら話してもいいかな。


「凄くいい香りがしたかな、薔薇の花みたいないい香り」


目を閉じてあの香りを思い出すと夢の中にいるような妙な気分になる。


「薔薇かー。やっぱイケメンは違うわ」育ちゃんがうっとりする。


「・・・・・・」京ちゃんは真っ赤な顔をしてスマホにメモを書き込んでいる。


だけど、2人はまだ北原くんについて、誤った夢を見ているんだろうな。


実際の彼は、みんなが思っているような王子様じゃないのにな、って思いながらやれやれと、ひとつため息をついていた。



< 12 / 303 >

この作品をシェア

pagetop