学校一クールなキミのお世話係になりました
「ごめん、一ノ瀬君。私、わからなくて。今、頭がぐちゃぐちゃになってて。自分がどうしたいのか見えてなくて」


しどろもどろになって言う私に一ノ瀬君は、大丈夫だよと声をかけてくれる。


「待つよ、俺。月島さんの答えが出るのを待ってるから。どんな結果になったとしても月島さんが、選んだ答えならきちんと受け入れるから」


穏やかに言う彼をようやく見上げると、優しく笑いかけてくれた。


だけどその表情も声もいつもよりも寂しそうで、胸が締め付けられるような気がして苦しかった。


こんな私にいつも優しくしてくれる一ノ瀬君を傷つけているような気がした。


だけど、


いま、この瞬間、


心に浮かぶのは別の人のことなのに、一ノ瀬君を傷つけたくない、嫌われたくないって思う私はズルいのかな。


そんな自分のあさましさが、凄く嫌だった。


「駅まで一緒に帰ろうか」


そう誘ってくれたけど、やはりこのまま曖昧にしてはいけないような気がした。


私の気持ちはまだはっきりと形が整っていなくてどうすればいいのかなんて、わからない。

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