学校一クールなキミのお世話係になりました
だけど、ひとつだけわかっているのは、今私が誰のことで頭が一杯かってこと。


そして、多分一ノ瀬くんに対してはこんな気持ちには、決してならないだろうっていう現実。


多分これから先もずっと。


「ごめんなさい、あの今日は一緒に帰れません。今日だけじゃなくて、もうずっと無理です」


「月島さん?」


「私のことを大事にしてもらって嬉しかった。だけど、これ以上、私を待たないでください。ごめん」


ぺこっと頭を下げて、逃げるように走りだした。


彼が私を呼ぶ声が聞こえて、苦しかったけど振り返ることが出来なかった。


私に対して誠実な好意を示してくれた彼を、傷つけることが、悲しくてたまらない。


だけど、自分自身を偽ることなんてできない。


気を持たせるような態度を、これ以上彼にしてはいけないんだって思った。


その時の私にはそれが一番残酷なことだと思ったから。


彼が私を異性として意識してくれていることは明らかだった。


だから、ちゃんと断ち切らないといけないんだ。


ごめんなさいって心の中で何度も一ノ瀬くんに謝りながら、駅までの道を走っていた。

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