学校一クールなキミのお世話係になりました
遠くの存在の彼をいつも私はこうして見上げているだけ。


手を伸ばしても届かないのに。


ってなんて私ったら卑屈な思考回路なんだろ。


何を考えてるんだろ。


今はそんなことばかり考えたくないのに。


北原君のマンションの32階のその部屋はさっきから暗いままだ。


もう22時過ぎなのに、まだ帰ってきていないんだろうか。


彼のお父さんは今日も帰りが遅いんだろうか。


せっかくの彼の誕生日なんだし、今日だけは早く帰ってきてはくれないのかな。


それとも、父子2人みずいらずで今頃素敵なお店にディナーを食べに行っているとかかもしれないし。


それならいいんたけど、もしも。


ふと嫌な予感が頭をよぎってしまう。

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