学校一クールなキミのお世話係になりました
「北原くん」


ポツリと呟いたら、虚しさで胸がいっぱいになってしまう。もうあんな風に、彼のそばにはいられないんだな。


陽光が新緑に降り注いで、キラキラしていてまぶしい。


あの日もこんな風に、青空が広がるすがすがしいお天気だった。


私は、クラス1のイケメンと初めて話すから、緊張していたっけ。


ほんの少し前のことなのに、もう随分昔のことみたいに感じる。


彼のお世話をして、恥ずかしかったけど、楽しかったな。


そばにいられることが、ほんとは嬉しかった。


手が触れあったり、からかわれたり、そして彼の笑顔を見られるだけで胸がいっぱいになった。


いつも、包帯を巻き直す時に、祈っていたよ。


早く良くなりますようにって。
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