学校一クールなキミのお世話係になりました
私はもともと、虫が大嫌いなのに。この季節、ほんとに嫌になるくらいに虫に好かれて追いかけられてしまう。


「やだ、やだ、出て、出て」


半泣きになりながらスカートの中に入れていたブラウスを掴んだ。


蜂を追い出そうと、ブラウスの裾を全部スカートの腰のあたりから出してバタバタ動かしたけど、全然でてこない。


ブラウスの中でブンブン飛んでいたかと思っていたら背中に止まった蜂が這うような感覚がして、震撼した。


「キャッ、やだ」


ブラウスの上を思い切り広げるように力一杯バタバタ動かした。


「アンコッ」


一人でジタバタしている私の頭上に声がふってくる。


そんな風に私を呼ぶ人はこの世に一人しかいない。

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