学校一クールなキミのお世話係になりました
声のした方を見上げたら、校舎の二階の窓から顔をだしている彼に気づいてますます泣きそうになる。


「北原くん」


「待ってろ、今行く」


校舎の二階の外階段から、降りようとしている彼の姿が、信じられなくて息を呑んだ。


「た、助けて、北原くん」


だけど、あんまり私が泣きそうな声で叫んだから彼を焦らせてしまったのかもしれない。


彼は外階段を降りるのも、もどかしげに地上3メートルくらいにある踊り場から飛び降りてきた。


「危ないっ、北原くん」


着地に失敗してバランスをくずしたように見えた。

だけど、転びそうになりながらも、なんとか走り寄って来てくれた。


「アンコ、大丈夫か?」


「北原くん、虫が、服の中に入って。とって」
「わかった、落ちついて」


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