学校一クールなキミのお世話係になりました
形のいい口の端をあげ、瞳は意地悪そうに細める彼のその表情にまた、胸がドキッとした。


「アンコは特別だから。怪我が治るまで、俺の右手になってもらうんだからな」


「はあ」


右手の代わりですか。まあそう思えば納得がいくようないかないような。


ハイハイ、つまり私は彼にとって、女では無いってわけね。


まあ、そうなんでしょうよ。


「出来たっ、今日は綺麗に結べたよ。」


ようやくネクタイを結び終えてホッとする。


ドキドキして、焦ってなかなか出来なくて時間がかかってしまった。


「うん、まあまあだな」


ぶっきらぼうな、言い方。


だけど、これでも一応彼にしては褒めてくれてるほうだ。


「包帯も汚れちゃったから、新しいのに巻き直してあげるね」




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