学校一クールなキミのお世話係になりました
「あんな顔ってどんな?」


「・・・・・それは言わない」


ここまでほのめかされると、理解できないことがモヤモヤしてしまう。


「言ってよ、私が誰にヘラヘラしてたっていうの?そんな風に言われたら気になるでしょ」


ちょっとムキになって問い詰めるけど彼は黙ってしまう。


気が付けば駅の改札の前まで来ていたので、彼は左肩にかけていたショルダーの通学バッグから定期券をだそうとした。


だけど、肩にかけながら左手でカバンの中を探すのはとてもやりにくそうだ。


「貸して、私がやってあげる」


「・・・」


「あったよ、はい」


「・・・ああ」


目を合わせないようにしながら、鞄から定期券をとりだして彼に渡すと改札へ移動した。


だけど、前を歩く彼は定期券を改札の機械には入れようとしないで振り返った。


そして、少し身をかがめて不思議そうに私を覗き込む。


「あれ、もしかしてアンコ怒ってるのか?」
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