学校一クールなキミのお世話係になりました
駅員さんはやれやれというようにため息をつくけどそれ以上は責められたりは、しなかった。


きっと高校生のカップルのただの痴話喧嘩と思ったのだろう。


北原くんに手を引かれて私も改札機をくぐってようやくホームの待合室までたどりついた。


「ごめん」


待合室のベンチに座ってからようやく落ち着いて彼に謝る。


どうしたんだろ私、さっきはどうして涙が出ちゃったんだろう。


泣くほど悔しかったのか悲しかったのかそれすら、わからない。


「いや、でも焦った、危うく俺、痴漢扱いされるとこだったから、彼女なんて言ってごめん」


「ううん。そんなこと」


いつになく、優しい声の彼を安心させたくて、無理やり笑顔をつくる。


「よかった、アンコの機嫌が直って。泣かれると焦るよ」


「ごめん」

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