学校一クールなキミのお世話係になりました
「まだ、怒ってる?」


「ううん、怒ってなんかないよ」


「アンコに見放されたら、終わりだよ、俺。こんな手でなんにも出来ないから」


包帯を巻いた手を私の方に向けて、彼がちょっと笑いながら調子のいいことを言い出す。


「他の人にやって貰えばいいでしょ?北原君のこと好きな人なんていっぱい、いるんだから。喜んでやってくれる人いくらでもいる」


「やだよ、アンコじゃないと、駄目だから」


そう言って、拗ねたように眉間に皺を寄せる彼。


「ど、どうして私じゃないとダメなの?私がいない時、ちょっと手伝ってもらうくらい、いいじゃない?みんな親切に言ってくれてるんだし」


「・・・けど、俺はアンコがいいから」


憮然として口をとがらせる彼のしぐさは、わがままな子供みたい。


もう、しかたないな、この人。


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