涙の裏側    ~もう一人の私~
就職して初めて…………

これ程暗い幼稚園の1日を終えた。

自分のやらかした事の大きさを、今更のように痛感する。

…………………子供じゃないけど………

『ごめんなさい』が通じないこともあるんだよって言葉が

頭に響く。

携帯を片手に、唯先生にお詫びのメールが送れず握り直してる。

ピリリ………ピリリリリ。

もしかして!!

手の中の携帯が、着信音を奏でる。

期待を込めて覗いた名前は…………同期の航。

唯先生を好きな航…………。

グチグチ言われるのかな?

十分反省して、落ち込んでる私の傷に

思いっきり塩を刷り込むつもりだろうなぁ。

「……………………はい。」

「今、何処にいる?」

「…………………ウチ。」

「出て来れない?」

正直、面と向かってのお説教はキツい。

でも…………

あんなことをやらかした私に電話して、叱ってでも繋がっててくれる。

素直にありがたいと思ったんだ。

「……………………………うん、行く。」
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