涙の裏側    ~もう一人の私~
商店街の中にある居酒屋。

のれんを潜ると、先に来ていた航。

………………と、彩先生と海晴先生。

「…………………………………………………ヒクッ。」

二人の温かい目を見たら…………………涙が溢れた。

もしかしたら……………

人前で泣いたの……………初めてかも。

「ほらっ!
もう怒ってないから座りな。」

しょうがないヤツって笑いながら、自分の隣の椅子を引く海晴先生。

「ビールでいい?」って、注文を取ってくれる彩先生。

「失恋に乾杯!!」

ケラケラ笑う航につられて、泣き笑いする私。

「ごめんなさい。」

頭を下げる私に

「いいんじゃない?
たぶんあの二人は、これを乗り越えて
もっと強い絆で結ばれるよ。
私もコソコソするのに、疲れてたから………
良いチャンスだったかも。」って彩先生。

「ただし、次はないからね!
次、四人を苦しめたら追い出すよ!!」

笑いながら叱る海晴先生に、何度も頷く。

次はってことは………………

まだ居て良いんだ。

ここに居られる安心から……益々涙が溢れた。
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