涙の裏側    ~もう一人の私~
「へぇ。
咲ちゃんって、幼稚園の先生なんだ。」

助手席に座り、他愛もない話しをしながら送ってもらう。

初めて入った喫茶店。

出逢ってホンの一時間ちょっとの人の車に乗って

自宅に送ってもらうのに………

不思議と不安を感じなかった。

こんな無謀なことをしたって、海晴先生辺りに知れたら

大目玉だろうなぁ~

「それで、今日の天候不良は……仕事関係?
あっ、聞いたらダメなパターンだったらスルーしていいよ。
ただ、今日逢ったばかりの俺になら愚痴りやすいかなって思って。
明日も仕事でしょう?
吐いて楽になってからの方が良いと思うよ。
俺に話しても、問題ないし。」

確かにそうだなぁ。

幼稚園と全く関係ない人だから話しを聞いてもらっちゃおうかな?

「私…………失恋したんです。」

「それはまた、涙といい王道だね。
失恋と涙と雨かぁ。」

「もう、茶化さないで下さい!
失恋したのは、8月31日。
仕事を初めて直ぐに大好きになった先輩の先生が
同じく先輩の先生とデートしてるところを目撃して………。
夏休みに私が好きだって伝えてたのに……
その時は何にも言わなくて、コッソリ付き合ってたんです。
二人に裏切られた気になって
幼稚園で感情のままに怒って…………
私の他にも先輩が先生に片思いしてて、ついその事をばらしちゃったんです。」

「えっ!!付き合ってる二人に??」

「あっ、違います。
私の態度が悪かったから………他の先生達が怒って。
それで、失恋したのは私なのに
付き合ってる先輩は、庇われてて悔しかったから
怒った先生も同じ先生が好きなこと、ばらしちゃったの。」
< 26 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop