涙の裏側    ~もう一人の私~
ギィ。

少し重たい、いつもの扉を開けると

「……………………よう。」と不機嫌そうな声が聞こえた。

えっ?!

マスターの『いらっしゃい』が聞けると思っていた私は

少なからずショックを受けた。

あれっ?

もう、barに変わったの??

もう一度扉を出て確認するも…………

いつもの喫茶店。

えっ??

驚く私に

「何やってんだ?
コーヒーで良いか?」って

これまた、愛想の全くない対応。

「………………………あの…………マスターは?」

「マスター?!
あぁ、圭哉?」

「圭哉??」

「そう、アイツは圭哉。
彼女なのに、名前も聞いてないの?」

「えっ!彼女?!
違います。違います!」

強く否定してたら

バックヤードから顔を覗かせた圭哉さんことマスター。

「ひっどいなぁ~
咲ちゃん、そんなに強く否定しないでよぅ。
おじさん、泣いちゃうよ。」と

全く悲しんでない笑顔で話す。
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