つかまえた!
1月最後の週になって、ようやく教師が全員揃うことができた。

後10日でリハーサル。

本番まで、三週間を切った。

中々進まない練習と準備に、イラついている園内。

僕に至っては

洋介さんに聞いた話しが気になって

益々ピリピリしていた。

そんな時、事件が起きた。

放課後、準備に終われる職員室で

隣に座るみぃが、薬を出した。

「海晴先生、それ………何の薬ですか?」

僕の質問に、ぴくっとするみぃと

何言ってるの?と

首を傾げる彩先生と梓先生。

「……………………痛み止め。」

答えるみぃに、ニッコリ笑って…………

「一つ僕にも、分けてもらえませんか?
さっきから肩こりのせいか、頭が痛くて。」

「えっ!!
……………………ダメ!」

姉御肌のみぃだったら

心配しながら「高くつくよ~」とからかった後で

「はい。」と水と一緒に渡しそうなのに…………。

『ダメ!』という反応に、周りが驚いて注目する。

「ガンガンするんですよぅ。
お願いします!」

僕のしつこさと、周りの目に耐えられなくなったみぃは………

渋々といった態度で

「はい。」と、一錠渡してくれた。

「すみません。」

お礼を言って、水を取りに行く僕には興味がなくなったらしいお姉さま方は

また自分達の仕事に戻った。

ただ一人みぃだけは、心配そうに僕を気にして

じっと見ているけど。
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