恋と眼鏡
使用人の私にそんなことを言われても、できる返事などない。
曖昧に笑っていると、祐典さまは黙って皿の上からお菓子を摘んだ。
「風華堂(ふうかどう)のビスケットですか。
あの人、手みやげだけは外さないんですよね。
……ん、おいしい。
加代もどうですか?」
「は、はぁ……」
こうやってよく祐典さまは私にお菓子を勧めてくるが、そろそろ、それを気軽に受け取るわけにはいかないんだと、わかってくれないだろうか。
「まあいいです。
あとで、皆で分けて食べなさい」
「ありがとうございま……!」
差し出された皿を受け取る。
が、突然、佑典さまに手を掴まれた。
思わず皿を落としそうになって、もう片方の手で慌てて掴み直す。
「最近、冷えてきたからですかね。
手が荒れています」
曖昧に笑っていると、祐典さまは黙って皿の上からお菓子を摘んだ。
「風華堂(ふうかどう)のビスケットですか。
あの人、手みやげだけは外さないんですよね。
……ん、おいしい。
加代もどうですか?」
「は、はぁ……」
こうやってよく祐典さまは私にお菓子を勧めてくるが、そろそろ、それを気軽に受け取るわけにはいかないんだと、わかってくれないだろうか。
「まあいいです。
あとで、皆で分けて食べなさい」
「ありがとうございま……!」
差し出された皿を受け取る。
が、突然、佑典さまに手を掴まれた。
思わず皿を落としそうになって、もう片方の手で慌てて掴み直す。
「最近、冷えてきたからですかね。
手が荒れています」