俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
嫌われるための猛奮闘





「おかえりなさい」

そう言って出迎えると、和樹さんはぐっと一瞬言葉につまる。

私が家にいるのはわかりきっているはずなのに、仕事から帰って来た和樹さんはなぜか毎日私の顔を見て動揺するそぶりを見せる。

愛のない契約結婚だから、出迎えなんて必要ないと思っているのかな。
でもそうだったとしても、私はこの出迎えやお見送りをやめる気なんてないけど。

彼の言う通り、大人しく飾りだけの妻でいるつもりはない。自分がやりたいと思ったら、家事もするし出迎えもする。

それをうっとうしいと思うなら思えばいい。
彼の意見は無視して嫌われるのなら好都合だ。


愛想をつかされるために一生懸命がんばって、めざせ離婚だ!と心の中で自分に気合を入れ奮い立つ。

「夕食の準備はもう少しかかりそうなんですけど、さきにお風呂にしますか?」

廊下を進みながらたずねると、和樹さんは首を横に振る。

「仕事を持って帰って来たから、ダイニングで片付ける」
「わかりました。じゃあ、あたたかいお茶を淹れますね」

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