俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「どうですか?」
「コーヒーと違って苦くない」
彼の素直な感想に、思わず噴き出した。
「そりゃハーブティーですから。やっぱりコーヒーじゃないと物足りないですか?」
「いや。これでいい。たしかにリラックスできる気がする」
「よかった。カミツレには安眠作用もあるんですよ」
私がほっとして笑うと、和樹さんがカップをソーサーの上に戻しじっとこちらを見た。
男らしい彼に見つめられ、なんだか頬が熱くなる。
「あ、お仕事中なのに話しかけたら邪魔ですよね。すみません。なるべく静かに食事の準備をするので……」
キッチンに戻ろうとすると、彼が引き留めるように私の手を掴んだ。
肌に触れた長い指の感触に、一気に心臓が跳びはねる。
「邪魔じゃない」
短くそう言われ、私は驚いて目をまたたかせた。
「鈴花の声や料理をする音を聞いていると、なんだか落ち着く」
私の顔を見上げながら、柔らかい声でそう言う。
傲慢で冷血な和樹さんが、突然こんな優しい表情を見せるなんて反則だ。