俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
和樹さんのお仕事もひと段落し、ふたりで向かい合ってテーブルにつく。
食卓の上に並んだ料理を見て、和樹さんはぐっと言葉につまった。
「これは……」
「新鮮でおいしそうなナスがあったので、たくさん買っちゃったんです」
私がにっこりと笑うと、彼が眉をひそめてお皿のひとつひとつを見る。
ナスと鶏肉の甘酢炒め、ナスの浅漬け、ナスの焼きびたしにナスと油揚げのお味噌汁。
主菜から副菜、汁物までとことんナス尽くしだ。
紫色ばかりの食事に、和樹さんがたじろぐのが伝わってくる。
秘書の穂積さんに、和樹さんの苦手な食べ物を前もって聞いていたのだ。
ナスが苦手、という情報に私はナス料理を作って食卓に並べてみた。これも和樹さんに愛想をつかされるための、嫌がらせの一環だ。
「もしかして、ナスはお嫌いでしたか?」
すっとぼけてそう聞くと、和樹さんがわずかに顔をしかめてうなずく。