俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


「そうですか。じゃあ無理しないでください。余ったら私が明日のお昼に食べますし、浅漬けは隼人に届けてあげようかな」

わざわざ嫌いな物を作ったんだから、食べてくれないことなんて想定済みだ。
にこやかにそう言ってお皿を下げようとすると、和樹さんが私の手をつかむ。

「いや、食べる」
「でもナスはお嫌いなんですよね?」
「別に食べられないわけじゃない」

とは言いつつ、その表情はものすごい仏頂面だ。
明らかに無理をしているのが伝わってくる。

「そんな気をつかわなくても、ほかになにか作りますよ?」
「いい」

和樹さんはかぶりを振って箸を持つ。そして意を決したように甘酢炒めのナスを掴んだ。
ナスを持ち上げたのはいいけれど、口に運ぶ前にまた動きが止まってしまう。



< 110 / 247 >

この作品をシェア

pagetop