俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「そうですか。じゃあ無理しないでください。余ったら私が明日のお昼に食べますし、浅漬けは隼人に届けてあげようかな」
わざわざ嫌いな物を作ったんだから、食べてくれないことなんて想定済みだ。
にこやかにそう言ってお皿を下げようとすると、和樹さんが私の手をつかむ。
「いや、食べる」
「でもナスはお嫌いなんですよね?」
「別に食べられないわけじゃない」
とは言いつつ、その表情はものすごい仏頂面だ。
明らかに無理をしているのが伝わってくる。
「そんな気をつかわなくても、ほかになにか作りますよ?」
「いい」
和樹さんはかぶりを振って箸を持つ。そして意を決したように甘酢炒めのナスを掴んだ。
ナスを持ち上げたのはいいけれど、口に運ぶ前にまた動きが止まってしまう。