俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
横を向いた彼は不機嫌そうな表情を浮かべているけれど、その頬がわずかに赤らんでいるのに気づいて、私は笑いをこらえきれなくなった。
「もう、和樹さん子供みたい……っ」
肩を揺らしながら笑うと、和樹さんの頬がますます赤くなる。それがまた面白くて笑いをとめられずにいると、和樹さんは私を睨んだ。
「子供みたいで悪かったな」
いつも偉そうで傲慢な彼が、不貞腐れたようにこちらを見る。その普段は見せない表情を、なんだか可愛いなんて思ってしまう。
「いえ、和樹さんの意外な一面を知れてよかったです」
くすくす笑いながら首を横に振ると、和樹さんは「こんななさけないところを、鈴花に知られたくなかった」とひとりごとのように漏らした。
「和樹さんがどれだけナスが苦手かわかったので、もう食卓に並べないようにしますね」
そう言った私の前で、和樹さんは不機嫌な表情のまま箸で掴んだナスを口の中に入れる。
あ、食べた!と驚いているうちに、彼は口の中のナスを咀嚼してのみこんだ。